クリエイティブの地平線

2020.10.07

2020年10月6日、Eddie Van Halenが亡くなった。
謹んで心より哀悼の意と、そして寂寥と感謝の意を表します。

彼の存在は大きな大きな分岐点で、彼の以前と以後で激変した。まさにエポックメーカー。

彼のユニークさは、速さや高度なテクニックというよりも、その基礎にある「クリエイティビティ」だ。彼以前からライトハンドタッピングもシュレッドプレイもあることはあったが、彼の手法は革命的に奇抜で、爆発的にユニークでクリエイティブだった。

好き嫌いは別にして「後にも先にもあんな弾き方、あんなフレーズ弾く人おらん」ということ。彼がテクニックとフレージングの次元を段違いに押し上げた。

なによりもリズム感は群を抜いて個性的だ(兄弟揃って)。ギターよりも前に始めていたドラムやピアノの感覚やテクニックが指先に、全関節に活きている。アーティフィケーションたっぷり、偏りとうねりと立体感のある唯一の演奏。グルーヴというやつだ。

ギターヒーローの時代は終わってなんていないし、終わらない。決して彼は最初で最後のギターヒーローではない。彼のような存在は地平線そのもので、追いかけても追いかけても、地平線は地平線のままだ。

日々人知れずユニークなクリエイターは生まれている。日々人知れずユニークな地平線は現れ続ける。そしてそれを追いかける。

テクニカルギタリスト=シュレッダーは、ギターに限らず総じてテクニカルプレーヤーは単に演奏家に留まらず、曲芸師というかアスリートというか、限りなく「スポーツ」に近いと思っていて、「あんなに弾けていたのに衰え朽ちていく(邪な嫌な言い方だが)斜陽の様」を目にすることになるであろうことが今から怖い。先取りして勝手に悲しい気持ちになっている。

年を重ね円熟みを増して渋くなるというベクトルもあるが、それとはこれとはまた違うというか、盛者必衰だし諸行無常だとわかっているが、でもやっぱり寂しく悲しい。

ご存命のうちに、現役バリバリのうちに、現地本国で生で見ておきたい。特にロサンゼルスで。サンセットストリップで速弾きオリンピックが開催されてほしい。